そろそろ息子のピアノ発表会の課題を決める時期になりました。まだ先生からの提示はないのですが、今やっている湯山昭『お菓子の世界』のフランス近現代風味が本人は気に入っているようなので、ちょっと思い切ってドビュッシーの「ゴリウォグのケークウォーク」なんかどうか、とネタ振りをしてみたところ、食らいつきの良いこと! 確かに、この曲のポップキッチュなテイストは子供にも魅力的に映るに違いありません。まあ、難易度的にはさすがに先生からストップが掛かるかもしれませんが、そのときはきっと近現代モノから何かカッコいい曲を探してくださることでしょう。いい先生につけて息子はシアワセモノだと思います。
などというやりとりをするうち、ふと「ゴリウォグ」の入っている『こどもの領分』全曲を聴きたくなって、久々に鳴らしてみました。…そうか。ドビュッシーでもこれは技術的になんとか手が届きそうだ、それにかわいいしキレイだし。ということで、思い立って楽譜を買って来ました。全6曲ありますが、とりあえず技巧的に複雑なものは後回しにして(笑)、1.「グラドゥス・アド・パルナッサム博士」、5.「小さな羊飼い」、そしてピアノピースで持っていた6.の「ゴリウォグ」などを試し弾き。なかでも「小さな羊飼い」は今まであまり意識しなかった小品ですが、技巧的にはシンプルでありつつ、テンポや強弱の制御をきちんとなぞると、美しい息遣いの起伏が立ち現われて、その魅力を再認識した次第です。
そこでちょっと問題が立ち現われました。というか、以前からちょっと気にしてはいたのですが、うちにある録音はパスカル・ロジェのもので、どうも拍節感や緩急の制御が甘い、というか緩すぎるのです。楽譜をなぞって鳴らしてみると、改めてその弊害がはっきりわかります。どんな感じかというと、複付点8分音符と32分音符だったら、音価は7:1であるべきなのですが、これをロジェは平気で3:1で弾いてしまうんですね。これはどう考えても作曲者の意図を曲げている。テンポの制御もそうで、特になにも指示がなくてもルバートしていたりする。敢えて淡々と弾くべきところがそうなっていると、何かとても安っぽく聞こえて、ちょっとげんなりします。じゃあ何故そんなロジェを買ってしまったのかと言うと、デュトワとの共演盤のラヴェルの協奏曲が良かったからなのですが、思えばそれは「ともかく指はよく回る」ロジェが、テンポ制御には人一倍うるさいデュトワと組んだから良かったわけで、ソロになってしまえば「指はよく回るけど…?」に過ぎない、と言うことなんでしょうか。
ともかく、ドビュッシーの良い録音を探すという宿題があったのは思い出したので、何とかせねばです。何かお薦めはありませんか?
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