明けまして音楽って素晴らしゅうございます。2006年01月09日 22時36分

というわけで昨日、ベーシストデビューの日を迎えました。練習を重ねるにつれ、段々とフレージングの「勘」が戻ってくるのがわかり、それは楽しかったです。思えばバンドやユニットをやっていた頃は、間奏部やエンディングに変化をつけるために、同じコードに対してどんなフレージング、どんなリズムパターンを充てるかについて常にアタマを使い、指を動かしていたわけで(まあ、ベースではなく主にキーボードですが)、その感覚が呼び覚まされて来る感じはそのまま「音楽のヨロコビ」を取り戻す過程でもありました。ちと大げさですが。

本番前にみねぎし氏と雑談している中で、他のアートや美的体験と比べて音楽のほうが「直接的」な感じが強いのではないか、という話になりました。これは、音が物理現象だということ、時間を伴う体験だということに深く関連しそうなのですが、更に一歩踏み込むと、実は音楽が非常に数学的な裏打ちをもって成立していることとも関連性があるんじゃないか、という気がします。もっともバルトークの言う黄金分割やフィボナッチ数列のようなメソッドになると、本当にどこまで有効かは微妙なところがありますが、そこまでカッチリした理論でなくても、たとえば前段で触れたような「構成」の考え方、これは音楽の土台にしっかりと存在します。どんな構成にするかについて「これしかない」という唯一の解はありませんが、どの解を選ぶかはちゃんと意思をもって選び、かつその意思に沿った戦略をもって細部を仕上げに掛からないと音楽は破綻します。そんなふうな音楽だからこそ、作り上げる過程というのは、何か隠された法則を探し当てるような気がしてとても楽しい。物理現象だということとは別に、何か「直接的」なものだと感じるのはこのためでもあります。

それにしても、こうした構成についての感覚や知見は歳を重ねるほど深まるのに対して、演奏技術のほうは下降しているという現実に毎度直面させられるのが何ともカナシイです。以前、ピアノについてそんなことを書いたのですが、ベースも同じです。今回せっかく良いきっかけを得たのだから、もう少し技術的なキャッチアップを図ろうと思います。うーん、そう言えばこれが新年の目標?

さてさて。肝腎のライブはどうだったかと言うと。初めて行ったハコだったのですが、こぢんまりとした、趣味のいい内装・照明の、とても居心地のよい空間でした。リラックスした気分で本番に臨みました。全5曲。みねぎし氏のギターの弦が切れるという想定外のハプニングで、MCも考えていなかった仁さんと私はとりあえずの即興BGMで場を繋ぐという場面もありましたが、本番が一番いい出来だった曲も2、3あったと思います。悪くはなかったんじゃないでしょうか。気持ちよくビールで乾杯できました。その後は、ご来場のマンジュさん、間に合わなかったらしいシンジさんを交えて河岸を替え、めまぐるしく色んな話題で盛り上がったのですが、何せ終電があるのでお先に失礼!した次第。千葉県は遠いなあ…翌日全く用事がなければ、夜通し飲みたいくらいだったのですが。ざんねん。

追伸: あらためて、楽器って体力使いますよねー。いやその、運ぶためにでなく、弾くことで、です。毎日のストレッチが非常に重要だったわけでして。というより、鍛えなきゃ体。

久しぶりに書いたかと思えば些事ばかり。2006年01月21日 16時59分

あっという間に2週間。何だか忙しいのですが、先日ちょっと楽しい職場の先輩お二人と東北方面へ出張。職務のことはさておき、さまざまな場面で図らずも「世間知らずである自分」を思い知らされるはめに。

  • トランシーバ機能付きケータイってあるといいね、と言ったら、最近注目されてる、と聞かされた。へえ、もう実用化されてたんだ。
  • こどもびいるって知ってますか、と訊いたら、子供たちの間で流行ってるよ、と言われた。流行ってるの?!
  • チェックインして夕食に。コロッケのディップにソースとマヨネーズを混ぜたものが供されるも、名前が出ない。ケチャップとマヨネーズなら「オーロラソース」だけど、じゃあこれは? しかたなく「地吹雪ソース」とか呼んでみるが、あんまりでしょう。
  • 前泊して翌朝、タクシーに乗ったら晴天なのにキラキラと雪のようなものが舞う。キレイ。これ何て言うんですか、と運転手さんに訊いてしまいました。もちろん答えは「風花」。
で、風花キレイー、なんて言っているうちにそれはどんどん強くなり猛烈な地吹雪に! 地吹雪ソースだなんてチャラけた天罰だろうか。ともあれ出張先には無事たどり着けましたです。

まめまつり、まめまつり。2006年01月29日 23時59分

どうやら史上初らしい手作り豆本のフリーマーケット「まめまつり」に出かけてきました。いつもお世話になっている「超短篇マッチ箱」のブースが一番のお目当てでしたが、初めて目にする豆本の世界にも興味津々。「マッチ箱」はオリジナルテクスト系ですが、他に写真・イラスト等のビジュアル系、コンテンツは既存のテクストを用いて装丁を追求するオブジェ系と、大まかに3つくらいの系列があるようです(分類はあちゃこさんによる)。

で、このビジュアル系、オブジェ系がやばいです。所有欲をものすごく掻き立てるんですね。小さくて美麗。手を出し始めたらきりがない! ということで、後ろ髪を引かれながらも、今回のお買物はオリジナルテクスト系のものに限定、厳選してみました。収穫は追って改めてご紹介。

さてさて。この日まめまつりに合わせて、夜には「500文字の心臓」のオフがありました。2005年のトーナメント優勝者のはるなさんがはるばるお見えになっていたので、そのお祝いというわけです。会場へ向う途中で限定5部のはるな短編集豆本を競い合うように買い求めたり、会場では「マッチ箱」ブースでお取り置きをお願いしておいたイワミヒロキポストカードを大人買いしたり(あれ? テクスト系に限定したのでは?)。photo 美しいものに接しているときが何より幸せです。で、遠路お越しのはるなさんに何か私もお祝いを、と思い、僭越ながら超短編を1作、ご覧のようなカード状に装丁して献呈させていただきました。超短編なのでその場で読み切れるのがよいですね。思いのほか喜んでいただけたようでホクホクです。内容は…はい。内緒です。複製・再配布の権利ははるなさんにプレゼントしてしまいましたので。

まめまつり収穫(1): 五十嵐彪太作品集。2006年01月31日 22時00分

photo500文字の心臓でもお世話になってる五十嵐彪太さんが、連作超短編を綺麗な豆本にまとめられたので、2種類購入。『恐竜観察記』(写真奥)は、イラスト入りで一篇ずつ別々の恐竜を題材にした作品が並びます。本当にありそうでなさそうな、恐竜たちのエピソードが素敵です。『影草子』(夏/冬二冊、写真手前)は、影をモチーフにした超短編を夏・冬の二集に編纂したもの。影に生命が吹き込まれ、つい影に語りかけたくなるような佳品が並んでいます。布張り表紙の美麗な、手のひらサイズの装丁も内容とよく響き合って、どちらも愛すべき一品に仕上がっています。お薦め。(写真はクリックすると大きくなります。テクスチャをぜひご覧あれ)

それにしても、こんなに連作小品の巧みな人もそうはいないのでは。ブログの連作もとても魅力的ですが、改めてこうやって本になったものを読むと、一つ一つの作品はむしろ慎ましすぎるくらいに抑制の効いたトーンなのに、並べることで作品の合間から立ち上がってくるものがあることに改めて気づかされます。連作なんてことで成功したためしのない身としては、感嘆することしきりです。

まめまつり収穫(2): イワミヒロキポストカード。2006年01月31日 22時01分

イワミヒロキさんは、「超短編マッチ箱」の挿画や、絵本「きみだれぼくへび」の絵を手がけておられるイラストレータです。実は彼のポストカードは昨年末の忘年会のときに一通り見せてもらっていたのですが、そのときは「ほしくないものがない!どうしよう!」と迷った挙句に買いそびれていたのです。今回、改めてじっくり見て選び…といっても、「買わないもの」を選んでそれ以外を買っただけだったりしますが、どっさり購入しました。

詳しくはもう、写真をご覧くださいとしか言いようがなく。素晴らしすぎます。こんなにやさしくて凛とした絵に会える幸せ。
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